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Higher brain dysfunction

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは?

学術的には、脳損傷が原因の失語・失行・失認や記憶障害など各種の認知機能の障害を高次脳機能障害と定義されています。
しかし、平成13年度に開始された高次脳機能障害支援モデル事業において集められたデータから、 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を原因に、日常生活及び社会生活において困難さを有する一群が存在し、 これらについての対応が不十分であることが明らかになりました。これらのことを背景に、厚生労働省(国立障害者リハビリテーションセンター)の診断基準では上記の障害を原因に、日常生活や社会生活において制約を生じている状態を指しています。
参考:国立障害者リハビリテーションセンターによる高次脳機能障害の定義(診断基準)

高次脳機能障害の種類

01注意障害

一つのことに集中したり、多数の中から一つを選んで注意することができない。​疲れやすく短時間しか集中できない障害。

  • ・話す内容に一貫性がない
  • ・まわりの状況に気が付かない
  • ・集中できない
  • ・作業中、他の物音に注意がそれる
  • ・落ち着かない
  • ・同時にいくつものことができない
  • ・仕事の効率を一定に保てない
  • 持続性注意障害長時間集中して作業に取り組むことができない。
  • 選択性注意障害対象外からの刺激に注意が奪われる。
  • 配分性注意障害複数の課題を同時に行う、順序良く実行することが難しい。
  • 転換性注意障害特定のものに集中しすぎてほかの対象に切り替えられない。
  • 容量性注意障害情報の量に制限があり、それを超えると処理できなくなる。

02遂行機能障害

設定した目標に対して行動していく際のプロセスを計画的に行えなくなる。物事を順序立てて実行することが難しくなる障害。

  • ・料理をしながら洗濯をするなど、片方は出来ても2つ以上を並行して行動するとなると出来なくなる。
  • ・変化した状況に応じて臨機応変に対応することができない。
  • ・物事の優先順位をつけられず、優先度が低いものから行動してしまう。

03社会的行動障害

感情や行動、言動をコントロールする部分に障害が出ることで対人関係がうまくいかなくなる。状況に応じた対応が取れず、社会に適応していけなくなる障害。

  • ・感情をコントロールする能力の低下(易怒性)
    正しい状況判断が行えず、自身の感情のコントロールが出来ない
  • ・他者依存・退行
    子供のような発言や行動をするようになり、自身で正しい判断が出来ず人に頼ってしまう
  • ・共感力の低下
    相手の立場や考えを察することができず、思いやることが出来ない
  • ・固執性
    こだわりが強く同じことをいつまでも続ける、相手の意見を聞くことが出来ない
  • ・意欲・発動性の低下、アパシー
    自分で何がしたい、何をしたら良いのか考えられず、誰かに指示されないと行動が出来ない
  • ・欲求コントロールの低下
    自身が欲しいものは何でも際限なく手に入れようとし、所持金をすべて使いきってしまうなど我慢が出来ない
  • ・反社会的行動
    窃盗や各種ハラスメントのような社会的倫理に反する行動を起こしてしまう
  • ・抑うつ症状
    抑うつ状態が続き、やる気が起きず行動に移すことができない

04失語症

脳梗塞・脳内出血などの脳血管障害や事故などによる脳外傷によって、大脳の言語をつかさどる部分が損傷されたために起こる言語機能の障害。一旦獲得した「聴く」「話す」「読む」「書く」といった言葉の使い方に何らかの影響が出る。

  • ・言われたことは理解できても、話すことができない
  • ・言葉の意味を理解出来ない
  • ・話せても支離滅裂な言葉になる
  • ・会話は通常通り行えるが、物の名前が出てこない
  • ・言語に関する能力すべてに障害が出る
  • ○運動型:理解はまあまあできるが、話せない、書けない。
  • ○感覚型:べらべらと話すが、理解できていないから意味が伴わない。

05失認症

1つまたは複数の感覚を介して対象物を識別できなくなる障害。見ているもの、聞いているもの、触っているものが何かわからないが、失認している感覚以外の感覚を使うことで識別できる。

  • ・目の前に見えているものが何かわからないが、触れるとわかる
  • ・聞こえた音が何の音かわからないが、見たらわかる
  • ・知人の顔を見ても誰だかわからないが、声を聞くとわかる

06失行症
  (動作と行動の障害)

視力、聴力、感覚に問題がなく、記憶も問題がないのに日常の簡単な事が出来なくなる障害。

  • ・「口を開けてください」はできないが、あくびの時には口が開く。
  • ・「手を振ってください」はできないが、別れる時にバイバイと手を振れる。

07半側空間無視

半則からの刺激(視覚、聴覚、触覚など)が認識できない障害。

  • ・右ばかり向いている
  • ・移動の際に左側にある段差に気がづかずつまずいたり、壁によくぶつかる
  • ・食事の際に左側に置いてあるものに気付かず食べ残す

社会での自立に向けて

高次脳機能障害を抱えた方が社会生活を送る際に不都合が生じないように、リボンでは個人の特性に合わせた支援を行っています。

就労をサポート

高次脳機能障害を発症した方は、障害によって複数の仕事を同時並行的に行うことが困難な場合が多くみられます。
しかし、障害のある方を対象にした「障害者枠」のほか、「一般就労」で働いている人たちもたくさんいらっしゃいます。
「障害者枠」の求人では企業へ合理的配慮を求めたり、特例子会社で限定的な作業に就く事もできます。

就労に関しては次のような施設でサポートを受けることができます。

  • ・ハローワーク
  • ・地域障害者職業センター
  • ・障害者就業・生活支援センター
  • ・就労移行支援事業所

上記の施設では、「働きたい」希望のある方への求職情報の提供だけでなく、仕事に就く自信が無い方や仕事を続けられるか不安な方に対して就労のための訓練や職場実習を行っています。落ち着いて就職活動を進めていく上で必要な生活面での支援もしてくれます。
また、就職後も仕事や生活の悩みを相談することで、就労の妨げとなる課題を早い段階で解決し、一日でも長く働けるようにサポートを受けられる「定着支援」なども行っています。就労支援サービスなどを活用し、自身の強みや特性を理解したうえで、様々な職種への実習を経験してみてください。実際の職場や、それに近い環境で就業体験を行うことは、継続して働き続けられる適職を見つける上で大切な過程です。
自身の強みを生かした就職を実現させ、希望した未来を手に入れられるよう、「働きたいな」と思ったら、まずは主治医に希望を伝え、これらの施設の専門スタッフに相談してみましょう。

高次脳機能障害の方の就職例

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