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Schizophrenia

統合失調症

統合失調症とは?

統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられています。健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状、そして認知機能障害があります。陽性症状の典型は幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人々は聞こえない声が聞こえる幻聴が多く見られます。陰性症状は、感情鈍麻、思考の貧困、意欲の欠如、自閉などがあります。
独り言、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなどがサインとして表れます。薬や精神科リハビリテーションなどの治療によって回復できます。早く治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、周囲が様子に気づいたときは早めに専門機関に相談してみましょう。

本人が気付きやすい症状・気付きにくい症状

統合失調症の原因

統合失調症の発症の原因はまだはっきりとわかっていませんが、脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスがくずれることが関係しているのではないかといわれています。統合失調症になりやすい要因をいくつかもっている人が、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚などの人生の転機で感じる緊張などがきっかけとなり、発症するのではないかと考えられています。遺伝子も関与していると言われていますが、単純に遺伝子だけの問題だではなく、さまざまな要因が関係しています。

100人に1人がかかる病気です

「統合失調症」の患者数は100人に1人とも言われており、けっして珍しい病気ではありません。かの有名なムンクやゴッホも統合失調症だったと言われています。 厚生労働省による調査では、ある1日に統合失調症あるいはそれに近い診断名で日本の医療機関を受診している患者数が25.3万人で、そこから推計した受診中の患者数は79.5万人とされています(2008年患者調査)。世界各国からの報告をまとめると、生涯のうちに統合失調症にかかるのは人口の0.7%、ある一時点で統合失調症にかかっているのは人口の0.46%、1年間の新たな発症が人口10万人あたり15人とされています。

統合失調症の症状

統合失調症は「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つの症状を分けることができます。

01 陽性症状

幻覚

幻覚とは実際には無いものをあるように感じる知覚の異常で、周りに誰もいないのに命令する声や悪口が聞こえたりする「幻聴」や無いはずのものが見えたりする「幻視」があります。

妄想

妄想とは「テレビで自分のことが話題になっている」「ずっと監視されている」など、実際には無いことを強く確信し周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことをいいます。嫌がらせをされているといった被害妄想、テレビやネットが自分に関する情報を流していると思い込んだりする関係妄想などがあります。

思考障害

思考が混乱し考え方に一貫性が無くなったり、会話に脈絡が無くなり何を話しているのかわからなくなることもあります。

02 陰性症状

統合失調症の陰性症状は、感情の平板化や意欲の減退、思考の低下、自閉などの症状です。多くは陽性症状に遅れて現れます。

感情の平板化

単なる気分の高揚や落ち込みではなく、喜怒哀楽の表現が乏しくなる症状です。
他者と視線を合わせなくなり、動きのない表情をします。他者の感情表現に共感することも少なくなります。

意欲の減退

自発的に何かを行おうとする意欲が無くなってしまう事をいいます。また、いったん始めた行動を続けることが難しくなります。学校の勉強や仕事など何事に対しても意欲がわかず、周りのことに興味や関心を示さなくなります。集中力も低下し、一度に多くの物事に対処するのが難しくなります。

思考の低下

会話の量が少なくなります。会話で比喩などの抽象的な言い回しが使えなかったり、理解が出来なくなり、会話の内容が空虚な内容になります。話しかけても、短く途切れとぎれの返事になったり、あるいは、まったく答えられないこともあります。

自閉

自分の世界に閉じこもり他者とのコミュニケーションをとらなくなる状態です。他人とのかかわりを避け、1日何をすることもなくぼんやりと過ごすようになるため、社会性が低下します。

03 認知機能障害

記憶力の低下

記憶力が低下し、物事を覚えるのに時間がかかるようになります。

注意・集中力の低下

注意・集中力が低下し、目の前の仕事や勉強に集中したり考えをまとめたりすることが出来なくなります。

判断力の低下

判断力が低下し、物事に優先順位をつけてやるべきことを判断したり、計画を立てたりすることが出来なくなります。

統合失調症の経過と症状

統合失調症の症状の現れ方や経過は人によってさまざまですが、一般的には前兆期・急性期・消耗期(休息期)・回復期に分けられ、それぞれに症状は異なります。
これらは一方方向ではなく、症状が落ち着いていても病気を誘発するようなストレスがかかると、再び急性期の症状へと戻る(=再発)こともあります。再発が繰り返されると、休息・回復に要する期間が長くなるといわれています。

01 前兆期

02 急性期

03 消耗期(休息期)

04 回復期

01 前兆期

特に目立った症状はありませんが、なんとなく変だと感じるようになります。眠れなくなったり、物音や光に敏感になったり、イライラしたり集中力が低下するなどの症状が続きます。

ポイント:過労・睡眠不足に注意しましょう

02 急性期

幻覚、妄想、興奮といった統合失調症特有の陽性症状が目立ちます。自分の中で何かが変だと感じながらも、自分が病気だと思えず他人から見ておかしな行動をすることがあります。幻覚や妄想に襲われて頭の中が混乱し、周りの出来事に敏感になるため、周囲とのコミュニケーションがうまくとれなくなります。

ポイント:睡眠・休息・安心感が大切です

03 消耗期(休息期)

幻覚や妄想などの陽性症状が少なくなり、感情の起伏が乏しく、無気力で何もしなくなるなどの陰性症状が中心になります。いつも寝ていたり、引きこもったりします。これは、急性期に心と体のエネルギーを沢山使ってしまったことが原因と考えられています。焦らず薬を飲み続けながら、ゆっくりと十分に休むことが必要です。この時期は不安定な精神状態にあり、ちょっとした刺激が誘因となって、急性期に逆戻りしやすい時期でもあります。

ポイント:数か月単位の休息を取りましょう/就寝時間は規則正しく焦らず無理をしないようにしましょう

04 回復期

症状が徐々に治まり、無気力な状態から脱していきます。徐々に心と体が安定してくるので、焦らずゆっくりと生活の範囲を広げていきましょう。ただし、この時期には認知機能障害が現れることがあり、その後の生活上の障害や社会性の低下へとつながっていく場合があります。また、再発予防のために薬を忘れずに飲むことが大切です。

ポイント:楽しみながらリハビリテーションに取り組みましょう /体力づくりも大切です

社会での自立に向けて

統合失調症を抱えた方が社会生活を送る際に不都合が生じないように、リボンでは個人の特性に合わせた支援を行っています。

社会参加と就労

統合失調症を発症してからの20〜30年の長期にわたる経過を調べた研究では、回復または社会的治癒に至る群は20〜30%、軽症群および中等症群がそれぞれ25〜30%、重症群が15〜25%との結果が出ています。 軽症群とは、症状は存在しているけれども日常生活に支障をきたさない程度をいいます。したがって、回復または社会的治癒群と合わせると、統合失調症の人の約半数が社会的生活を問題なく営むことができていると考えられます。近年、新しい薬剤が登場したり、リハビリテーションプログラムなどの心理社会的療法が充実してきており、統合失調症は以前のような「一生入院を要する不治の病」ではなくなっています。
今後、自立した社会生活を送ることができる人は、ますます増えると思われます。

就労をサポート

統合失調症を発症した方は、認知機能障害によって複数の仕事を同時並行的に行うことが困難な場合が多くみられます。
しかし、障害のある方を対象にした「障害者枠」のほか、「一般就労」で働いている人たちもたくさんいらっしゃいます。「障害者枠」の求人では企業へ合理的配慮を求めたり、特例子会社で限定的な作業に就く事もできます。

就労に関しては次のような施設でサポートを受けることができます。

  • ・ハローワーク
  • ・地域障害者職業センター
  • ・障害者就業・生活支援センター
  • ・就労移行支援事業所

上記の施設では、「働きたい」希望のある方への求職情報の提供だけでなく、仕事に就く自信が無い方や仕事を続けられるか不安な方に対して就労のための訓練や職場実習を行っています。落ち着いて就職活動を進めていく上で必要な生活面での支援もしてくれます。

また、就職後も仕事や生活の悩みを相談することで、就労の妨げとなる課題を早い段階で解決し、一日でも長く働けるようにサポートを受けられる「定着支援」なども行っています。就労支援サービスなどを活用し、自身の強みや特性を理解したうえで、様々な職種への実習を経験してみてください。実際の職場や、それに近い環境で就業体験を行うことは、継続して働き続けられる適職を見つける上で大切な過程です。

自身の強みを生かした就職を実現させ、希望した未来を手に入れられるよう、「働きたいな」と思ったら、まずは主治医に希望を伝え、これらの施設の専門スタッフに相談してみましょう。

統合失調症の方の就職例

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